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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)240号 判決 1950年6月30日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人人竹上半三郎、富沢準二郎の上告趣意第一点について。

原判決擧示の証拠によれば、判示のごとき各一日の基準配給量並びに判示のごとき各不正受配の合計量を認定することができる。(所論天滿戸治外二八名に対する受配合計数量は原判決の誤算と認める。いずれにしても本件犯罪の成否、並びに犯情に影響を及ぼすものではなく、従って原判決を違法ならしめるものではない)論旨は結局原判決の裁量に属する証拠の判断、事実の認定を非難するものであって、これを採用することはできない。

同第二点について。

かりに、所論のごとく家庭用物資購入集成通帳と配給所販売原簿との間に其記載内容の相違がありとしても、原判決がその挙示の証拠に基いて原判示のごとく被告人が右通帳を判示配給所に提示して不正配給を受領した事実を認定するに妨げとなるものではない。所論証人道畑新一郎の証言も右原判示事実認定の証拠となり得るものであり、所論は結局原審の裁量に属する証拠の判断、事実の認定を攻撃するものに過ぎないから採用に値しない。

同第三点について。

原判決挙示の証拠により、原判示各事実を認定し得ることは第一、二点において、説明の通りである以上、その上に、所論のごとき点をも判決において逐一説示することは法の要求するところではない。従って、原判決に所論のごとき理由不備の違法ありとすることはできない。

よって、刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条に従い、主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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